© Tech Direction Awards 2024

第1回の開催に向けたプレアワードとして、部門や評価方針、審査フローを確立することを目的に「第0回 Tech Direction Awards」を開催いたしました。
テクニカルディレクターズアソシエーションの会員による他薦にて、2022年1月〜2023年3月に発表されたプロジェクトから候補を選出し、審査いたしました。受賞者にはTech Direction AwardsのNFTトロフィーを贈呈いたします。

※第0回は、2022年1月〜2023年3月の間にローンチされた、もしくは機能追加などアップデートされたプロジェクトを対象にしています。
※第0回は他薦による選出であるため、客観的に推測される実装内容、および一般に公開されている記事等から得られた情報をもとに評価を行いました。
※第1回以降は、自薦による公募を想定しています。ご応募いただく際に、当事者より情報提供いただく予定です。

Winners受賞プロジェクト

Digital Productデジタルプロダクト部門

mocopi™

ソニー

画像提供:ソニー株式会社

Gold

カチャカ

株式会社Preferred Robotics

画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000115855.html

Silver

審査員コメント

Digital Product部門としてはハードウェアプロダクト単体ではなく、デジタル技術を利用したハードウェアプロダクトの中で、優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。
また、研究開発やプロトタイプなど、0→1的な価値のある製品はR&D / Prototype部門にて評価することになり、1→10のような、あるカテゴリにおいて製品の普及のための様々な課題(UX、製造コスト、品質など)にテクニカルディレクションが多く行われているものが評価される傾向の部門となっています。

そういった点において受賞作の『mocopi』は、以前からあるモーションキャプチャーをしたいという課題に対して加速度・ジャイロセンサーの採用やアルゴリズムによる関節位置の補完や補正、そしてスマホアプリに落とし込むことによる手軽さの改善など、多方面でテクニカルディレクションが光る製品でした。
次点となった『カチャカ』も、新しい市場のため成功するかどうかは未知数ですが、関係会社で培った機械学習のノウハウを横展開したサービスを作り、かつ新たな学習データを手に入れることでさらなる次の展開を模索する技術的な経営の視点が光る製品となっています。

(森岡 東洋志)

Digital Serviceデジタルサービス部門

Luma AI

Luma AI

画像引用先:https://lumalabs.ai/

Gold

Plask motion

Plask

画像引用先:https://motion.plask.ai/

Silver

Audio Shot(旧:AudioTokenDistributor)

SUSHI TOP MARKETING株式会社、エヴィクサー株式会社

画像引用先:https://www.sushitopmarketing.com/service/audioshot

Bronze

審査員コメント

革命的な論文が発表され、毎日のようにSNSで話題になる時代。研究やアイデアは尊く偉大だが、それらを確かなサービスとして社会実装するのもまた偉大であり、多くの知恵と工夫を要するだろう。

Digital Service部門では、研究やプロトタイプではなく、一般ユーザーに広く提供されているサービスの中から、テクニカルディレクションが輝いている3つのサービスが選出された。本部門では、新規性だけでなく、ユーザー体験、安定性、設計の工夫など、価値の高いサービスに不可欠な要素を総合的に評価している。

受賞作の『Luma AI』では、NeRFという複数の写真から3Dシーンを生成する新技術をスマートフォン1台で手軽に行うことができる。使いやすいだけでなく、生成と閲覧も非常に快適であり、技術と体験の間に素晴らしい橋が架けられている。
次点となった『Plask motion』では、従来多くの機材を必要としたモーションキャプチャーが、動画をアップロードするだけで実現する。体験もブラウザで完結し、生成も早く、クリエイターのニーズに答える設計となっている。
最後に『Audio Shot(旧:AudioTokenDistributor)』だが、音に音響透かしを入れることで音を介してNFTの配布が行える独創的なサービスだ。特別なアプリやNFTWalletさえも必要としない素晴らしい体験から、開発チームの工夫がうかがえる。

(荻野 靖洋)

Digital Experienceデジタルエクスペリエンス部門

時計の捨象 #01

SEIKO

画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000413.000010826.html

Gold

24時間ARライブ配信 ゼスプリヘルシーハント

ゼスプリ インターナショナル ジャパン株式会社

画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000015230.html

Silver

Unlearning the Visuals『回す』

WOW inc.

画像引用先:https://25ex.wow.inc/works#workblk-mawasu

Bronze

審査員コメント

このDigital Experience部門では、デジタル技術を利用した展示物・エンターテインメント公演・メディアアート作品・映像作品において、テクニカルディレクションが行われているものを審査しました。アワードの中でも体験性や、審美性、新規性に特に重点をおいて審査された部門でもあります。
各分野の技術者を繋ぎ、実現へと導くテクニカルディレクションにおいて、今まで見たことがない美しい体験を作る為には、ゴールのクオリティイメージの共有や技術選定の難易度が上がることが多く、そこが評価ポイントとなりました。

受賞作の『時計の捨象 #01』はSEIKOの製品の時計技術を使ったインスタレーション作品。すでにある技術を使える利点と、逆にすでにあることでの制約もある中で、技術と企画が密に繋がり、機械としての精密さと表現としての気持ちよさが良い塩梅で両立している、まさにテクニカルディレクションが光る作品です。
『ゼスプリヘルシーハント』は、ジオラマとARシステムを掛け合わせた配信コンテンツで技術的難易度や24時間配信という耐久性はもちろんですが、キャラクターが座った瞬間にジオラマ内のソファが凹む演出と実装に、細部までのこだわりを感じます。
『回す』は、デバイスを回す事で映像が展開されるインスタレーション作品で、「言葉で表現できない身体的な気持ちよさを突き詰めていく」という、とても高度なテクニカルディレクションが想像されます。

(久我 尚美)

Website / Appウェブサイト・アプリ部門

ABEMAで全64試合を無料生中継「FIFA ワールドカップ カタール 2022」

株式会社AbemaTV

画像引用先:https://contents-abema.com/fifaworldcup/

Gold

KUBOTA FUTURE CUBE

株式会社クボタ

画像引用先:https://www.kubota.co.jp/futurecube/

Silver

MoAR – Museum of AR

Whatever Co.

画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000040758.html

Bronze

審査員コメント

Website / App部門では、アウトプットがWebsite / appであるものにおいて、新しい技術や新しい表現へのチャレンジがあるか、尚且つその表現がスマートに実現されているか、また、バックエンド、インフラの安定感および運用を含むテクニカルディレクションに光るものがあるかなどの観点から受賞作を選定させていただきました。

『ABEMAで全64試合を無料生中継「FIFA ワールドカップ カタール 2022」』は、2000万人同時配信に耐えられるインフラ設計、当日運用含めてきめ細かいテクニカルディレクションが感じられました。
『KUBOTA FUTURE CUBE』のサイトはシーンの切り替えがとてもスムーズで、触り心地も素敵でした。また、PCとスマホの体験の差異を感じないほど、リッチな表現をスマホでもストレスなく操作できたことが印象的です。
『MoAR – Museum of AR』は、Google ARCore Geospatial APIの採用により、大幅な工数削減ができたのではないかというのと、一早くApp Clipで実装されていたため、少ないファイルサイズ制限の中でデータの持ち方の工夫があったのではないかなど、テクニカルディレクションによってユーザーの体験までのスピードが短縮されたのではと想像されました。

(岡田 敦子)

R&D / PrototypeR&D・プロトタイプ部門

XRAYHEAD

今井 健人、茅野 遥佳、小鷹 研理

Gold

LiDR -Liquid Drawing-

サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社

画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000115855.html

Silver

Active Slate

ソニー

画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000406.000000353.html

Bronze

審査員コメント

技術の可能性を議論する。
まず、ものすごい知識のあるメンバーで議論ができたことが楽しかったです。違いを持った前提で、それぞれの視点で可能性を議論できました。そのプロセスを経てできたカテゴリが、R&D / Prototype部門です。

第0回なので、Tech Direction Awardsとは?という議論もたくさんしました。この部門では世の中には限定的、研究・論文領域でまだ未完成、そんなものにもスポットライトを当てていきたい。体験してみたい、してもらいたい。ある種の願いみたいなものも込められています。では、作品を見てください。

『XRAYHEAD』は、「身体の透視」という背景から制作された、HMDを使用しないXR技術/作品。体験者の頭を透かして、まるで頭蓋骨に直接アクセスされるような体験を提供。人間の身体性と現代のXR、2つの常識を組み合わせて新しい体験をつくっている点がすばらしい。
『LiDR -Liquid Drawing-』は、飲み物に他の液体で線を描き、維持する技術。文字やイラストを3Dフードプリンターで描画できる。飲み物に絵を描くという、誰もが夢想するようなことの、大切な一歩だと感じる。
『Active Slate』は、「触覚提示技術」が搭載された床。水たまり・砂浜・うす氷の各シーンをデジタル映像で表現するとともに、体験者の歩行に合わせて、足元から様々な振動をフィードバックする。この床を踏むと、まるで空間ごと入れ替わったような体験ができる。

技術をどう使うのか。その見立てが大切だと感じます。みなさんにはどう映ったでしょうか。技術の進化と共に、ひとの想像も次のステージへ。そんな部門の立ち上げになったら幸いです。

(⻄濱 ⼤貴)

Special Prize特別賞

MPLUSPLUS

画像提供:MPLUSPLUS

審査員コメント

新たなライブパフォーマンス表現を生み出すため、ハード、ソフト、システムそしてパフォーマンスまでを一気通貫で運営可能なチーム編成を社内に持ち、特に2022年では「America's Got Talent」や「MDLBEAST SOUNDSTORM」など国内に留まらず海外まで発表の場を広げた実績が評価されました。
それぞれの部門では、単一のサービス・プロダクトや、単発の実施施策を評価する形式のため、特別賞を設置し、持続的なR&Dサイクルを実現するMPLUSPLUSのチームに特別賞を授与することとなりました。

(大西 拓人)

第0回 プレアワード 総評

第1回のTech Direction Awardsを開催、公募するにあたり、審査部門や審査方法、応募情報を洗い出すためにサンプル的にプロダクトや事例を集めて実際にアワードの審査から授与までの流れをランスルーする、という第0回を先んじて行うこととなりました。

実施した中で多くの気づきが発生し、単純に製品や事例のカテゴリ上での分類だけでなく、R&D / Prototype部門のようなフェーズで分けた部門の必要性を感じました。また、既存の情報だけではテクニカルディレクションが行われているかどうか評価しづらい場合も多いことも判り、これらは応募時の入力項目として反映されていきます。
今回はあくまでランスルーなので公募によって集まったわけではなく、TDAのメンバーなどに集めてもらった候補からの受賞という形にはなりますが、それでもTech Direction Awardsでないと表彰されないような製品やインスタレーションの名前が挙がっており、改めてこのアワードをする意義があると感じました。

(森岡 東洋志)

Digital Productデジタルプロダクト部門

デジタル技術を利用したハードウェアプロダクトの中で、優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。一般に展示/公開された作品であれば、製品化していなくとも審査対象とする。

Digital Serviceデジタルサービス部門

デジタル技術を利用した、一般ユーザーに広く提供されているサービスの中で優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。オンスクリーン/オフスクリーンは問わないが、何らかの形でバックエンドシステムと連携しているものを対象とする。一般に公開されていないプロトタイプは含まないが、一般利用が可能なα版・β版は審査対象とする。

Digital Experienceデジタルエクスペリエンス部門

デジタル技術を利用した展示物・エンターテインメント公演・メディアアート作品・映像作品の中で優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。一般に展示/公開された作品であれば、プロトタイプも審査対象とする。

Website / Appウェブサイト・アプリ部門

ウェブサイトやスマートフォン向けのアプリの中で、優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。一般に公開されていないプロトタイプは含まないが、一般利用が可能なα版・β版は審査対象とする。

R&D / PrototypeR&D・プロトタイプ部門

デジタル技術を利用した、R&Dのデモンストレーションコンテンツやプロトタイプの中で、優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。

Special Prize特別賞

上記5つの部門とは別に、優れたテクニカルディレクションを行っているチームまたはプロジェクトを表彰する。

Judges審査員

Takuto Onishi

ソニーグループ株式会社 コーポレートテクノロジー戦略部門 コンテンツ技術&アライアンスグループ シニアテクニカルディレクター

Atsuko Okada

株式会社ファブリカ プロデューサー

Yasuhiro Ogino

株式会社コネル テクニカルディレクター
株式会社知財図鑑 知財ハンター

Naomi Kuga

株式会社 博展 テクニカルディレクター

Yuichi Kon

note株式会社 CTO

Daiki Nishihama

株式会社 博報堂 テクニカルディレクター

Kampei Baba

株式会社バスキュール クリエイティブディレクター

Toyoshi Morioka

ベースドラム株式会社 テクニカルディレクター
一般社団法人テクニカルディレクターズアソシエーション 発起人

Sponsors協賛

ゴールドスポンサー

博報堂
BASSDRUM

シルバースポンサー

株式会社博展
Konel
Bascule

メディアパートナー

知財図鑑

Organizer主催

TDA