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テクニカルディレクションアワード(Tech Direction Awards)は、アイデアや表現だけでなく、それらを実現するためのテクニカルディレクションが優れているプロジェクトを表彰し、普段スポットライトの当たりづらい“テクニカルディレクションの重要性”を伝えることを目的として2023年に発足しました。
2023年度に、第1回Tech Direction Awardsの開催を予定しています。
Judges審査員
Takuto Onishi
ソニーグループ株式会社 コーポレートテクノロジー戦略部門 コンテンツ開発課 テクニカルディレクター
Atsuko Okada
株式会社ファブリカ プロデューサー
Yasuhiro Ogino
株式会社コネル テクニカルディレクター
株式会社知財図鑑 知財ハンター
Naomi Kuga
株式会社 博展 テクニカルディレクター
Yuichi Kon
note株式会社 CTO
Daiki Nishihama
株式会社 博報堂 テクニカルディレクター
Kampei Baba
株式会社バスキュール クリエイティブディレクター
Toyoshi Morioka
ベースドラム株式会社 テクニカルディレクター
一般社団法人テクニカルディレクターズアソシエーション 発起人
Categories部門
Digital Productデジタルプロダクト部門
デジタル技術を利用したハードウェアプロダクトの中で、優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。一般に展示/公開された作品であれば、製品化していなくとも審査対象とする。
Digital Serviceデジタルサービス部門
デジタル技術を利用した、一般ユーザーに広く提供されているサービスの中で優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。オンスクリーン/オフスクリーンは問わないが、何らかの形でバックエンドシステムと連携しているものを対象とする。一般に公開されていないプロトタイプは含まないが、一般利用が可能なα版・β版は審査対象とする。
Digital Experienceデジタルエクスペリエンス部門
デジタル技術を利用した展示物・エンターテインメント公演・メディアアート作品・映像作品の中で優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。一般に展示/公開された作品であれば、プロトタイプも審査対象とする。
Website / Appウェブサイト・アプリ部門
ウェブサイトやスマートフォン向けのアプリの中で、優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。一般に公開されていないプロトタイプは含まないが、一般利用が可能なα版・β版は審査対象とする。
R&D / PrototypeR&D・プロトタイプ部門
デジタル技術を利用した、R&Dのデモンストレーションコンテンツやプロトタイプの中で、優れたテクニカルディレクションが行われていると考えられるプロジェクトを表彰する。
Special Prize特別賞
上記5つの部門とは別に、優れたテクニカルディレクションを行っているチームまたはプロジェクトを表彰する。
Winners受賞プロジェクト
Digital Productデジタルプロダクト部門


Digital Serviceデジタルサービス部門



Audio Shot(旧:AudioTokenDistributor)
画像引用先:https://www.sushitopmarketing.com/service/audioshot
Bronze
審査員コメント
Digital Service部門では、研究やプロトタイプではなく、一般ユーザーに広く提供されているサービスの中から、テクニカルディレクションが輝いている3つのサービスが選出された。本部門では、新規性だけでなく、ユーザー体験、安定性、設計の工夫など、価値の高いサービスに不可欠な要素を総合的に評価している。
受賞作の『Luma AI』では、NeRFという複数の写真から3Dシーンを生成する新技術をスマートフォン1台で手軽に行うことができる。使いやすいだけでなく、生成と閲覧も非常に快適であり、技術と体験の間に素晴らしい橋が架けられている。
次点となった『Plask motion』では、従来多くの機材を必要としたモーションキャプチャーが、動画をアップロードするだけで実現する。体験もブラウザで完結し、生成も早く、クリエイターのニーズに答える設計となっている。
最後に『Audio Shot(旧:AudioTokenDistributor)』だが、音に音響透かしを入れることで音を介してNFTの配布が行える独創的なサービスだ。特別なアプリやNFTWalletさえも必要としない素晴らしい体験から、開発チームの工夫がうかがえる。
(荻野 靖洋)
Digital Experienceデジタルエクスペリエンス部門

時計の捨象 #01
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000413.000010826.html
- https://nomena.co.jp/project/watchesthatforgottheirrole01/
画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000413.000010826.html
Gold

24時間ARライブ配信 ゼスプリヘルシーハント
画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000015230.html
Silver

Unlearning the Visuals『回す』
画像引用先:https://25ex.wow.inc/works#workblk-mawasu
Bronze
審査員コメント
各分野の技術者を繋ぎ、実現へと導くテクニカルディレクションにおいて、今まで見たことがない美しい体験を作る為には、ゴールのクオリティイメージの共有や技術選定の難易度が上がることが多く、そこが評価ポイントとなりました。
受賞作の『時計の捨象 #01』はSEIKOの製品の時計技術を使ったインスタレーション作品。すでにある技術を使える利点と、逆にすでにあることでの制約もある中で、技術と企画が密に繋がり、機械としての精密さと表現としての気持ちよさが良い塩梅で両立している、まさにテクニカルディレクションが光る作品です。
『ゼスプリヘルシーハント』は、ジオラマとARシステムを掛け合わせた配信コンテンツで技術的難易度や24時間配信という耐久性はもちろんですが、キャラクターが座った瞬間にジオラマ内のソファが凹む演出と実装に、細部までのこだわりを感じます。
『回す』は、デバイスを回す事で映像が展開されるインスタレーション作品で、「言葉で表現できない身体的な気持ちよさを突き詰めていく」という、とても高度なテクニカルディレクションが想像されます。
(久我 尚美)
Website / Appウェブサイト・アプリ部門

ABEMAで全64試合を無料生中継「FIFA ワールドカップ カタール 2022」
画像引用先:https://contents-abema.com/fifaworldcup/
Gold

KUBOTA FUTURE CUBE
画像引用先:https://www.kubota.co.jp/futurecube/
Silver

MoAR – Museum of AR
画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000040758.html
Bronze
審査員コメント
『ABEMAで全64試合を無料生中継「FIFA ワールドカップ カタール 2022」』は、2000万人同時配信に耐えられるインフラ設計、当日運用含めてきめ細かいテクニカルディレクションが感じられました。
『KUBOTA FUTURE CUBE』のサイトはシーンの切り替えがとてもスムーズで、触り心地も素敵でした。また、PCとスマホの体験の差異を感じないほど、リッチな表現をスマホでもストレスなく操作できたことが印象的です。
『MoAR – Museum of AR』は、Google ARCore Geospatial APIの採用により、大幅な工数削減ができたのではないかというのと、一早くApp Clipで実装されていたため、少ないファイルサイズ制限の中でデータの持ち方の工夫があったのではないかなど、テクニカルディレクションによってユーザーの体験までのスピードが短縮されたのではと想像されました。
(岡田 敦子)
R&D / PrototypeR&D・プロトタイプ部門

LiDR -Liquid Drawing-
- https://www.suntory.co.jp/enjoy/movie/d/5714930402723.html
- https://www.youtube.com/watch?v=7HEd61dFxlU
画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000115855.html
Silver

Active Slate
- https://www.sony.com/ja/SonyInfo/research/projects/haptics/
- https://www.youtube.com/watch?v=JhY6vV94zG8
画像引用先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000406.000000353.html
Bronze
審査員コメント
まず、ものすごい知識のあるメンバーで議論ができたことが楽しかったです。違いを持った前提で、それぞれの視点で可能性を議論できました。そのプロセスを経てできたカテゴリが、R&D / Prototype部門です。
第0回なので、Tech Direction Awardsとは?という議論もたくさんしました。この部門では世の中には限定的、研究・論文領域でまだ未完成、そんなものにもスポットライトを当てていきたい。体験してみたい、してもらいたい。ある種の願いみたいなものも込められています。では、作品を見てください。
『XRAYHEAD』は、「身体の透視」という背景から制作された、HMDを使用しないXR技術/作品。体験者の頭を透かして、まるで頭蓋骨に直接アクセスされるような体験を提供。人間の身体性と現代のXR、2つの常識を組み合わせて新しい体験をつくっている点がすばらしい。
『LiDR -Liquid Drawing-』は、飲み物に他の液体で線を描き、維持する技術。文字やイラストを3Dフードプリンターで描画できる。飲み物に絵を描くという、誰もが夢想するようなことの、大切な一歩だと感じる。
『Active Slate』は、「触覚提示技術」が搭載された床。水たまり・砂浜・うす氷の各シーンをデジタル映像で表現するとともに、体験者の歩行に合わせて、足元から様々な振動をフィードバックする。この床を踏むと、まるで空間ごと入れ替わったような体験ができる。
技術をどう使うのか。その見立てが大切だと感じます。みなさんにはどう映ったでしょうか。技術の進化と共に、ひとの想像も次のステージへ。そんな部門の立ち上げになったら幸いです。
(⻄濱 ⼤貴)
Special Prize特別賞

審査員コメント
それぞれの部門では、単一のサービス・プロダクトや、単発の実施施策を評価する形式のため、特別賞を設置し、持続的なR&Dサイクルを実現するMPLUSPLUSのチームに特別賞を授与することとなりました。
(大西 拓人)
第0回 プレアワード 総評
実施した中で多くの気づきが発生し、単純に製品や事例のカテゴリ上での分類だけでなく、R&D / Prototype部門のようなフェーズで分けた部門の必要性を感じました。また、既存の情報だけではテクニカルディレクションが行われているかどうか評価しづらい場合も多いことも判り、これらは応募時の入力項目として反映されていきます。
今回はあくまでランスルーなので公募によって集まったわけではなく、TDAのメンバーなどに集めてもらった候補からの受賞という形にはなりますが、それでもTech Direction Awardsでないと表彰されないような製品やインスタレーションの名前が挙がっており、改めてこのアワードをする意義があると感じました。
(森岡 東洋志)
審査員コメント
また、研究開発やプロトタイプなど、0→1的な価値のある製品はR&D / Prototype部門にて評価することになり、1→10のような、あるカテゴリにおいて製品の普及のための様々な課題(UX、製造コスト、品質など)にテクニカルディレクションが多く行われているものが評価される傾向の部門となっています。
そういった点において受賞作の『mocopi』は、以前からあるモーションキャプチャーをしたいという課題に対して加速度・ジャイロセンサーの採用やアルゴリズムによる関節位置の補完や補正、そしてスマホアプリに落とし込むことによる手軽さの改善など、多方面でテクニカルディレクションが光る製品でした。
次点となった『カチャカ』も、新しい市場のため成功するかどうかは未知数ですが、関係会社で培った機械学習のノウハウを横展開したサービスを作り、かつ新たな学習データを手に入れることでさらなる次の展開を模索する技術的な経営の視点が光る製品となっています。
(森岡 東洋志)